東京都同情塔
著者:九段理江 出版社:新潮社
それは都市を導き、未来を方向付ける塔になる──。建築家・牧名沙羅は、〈同情されるべき人々〉(ホモ・ミゼラビリス)が暮らす新時代の刑務所・シンパシータワートーキョーのコンペに参加する。人は、どこまで寛容で在らねばならないのか。空虚な言葉と正義が支配する東京に、沙羅のデザインしたタワーがそびえ立つ。
著者が会見で「全体の5%くらい生成AIの文章を使っている」と発言して話題を呼んだ芥川賞受賞作。文庫化に際し、単行本未掲載の短編を収録。
2026.6.4
考える機械たち
著者:インガ・ストルムケ 翻訳:羽根 由 監修:小林 聡 出版社:誠文堂新光社
AI(人工知能)の歴史、現在、未来の展望をわかりやすく解説する、ノルウェー発のサイエンス・ノンフィクションが上陸。
ノルウェーの気鋭の学者が人工知能の歴史、原理、そして今日の人工知能の課題、問題点、リスクをひもとく。そして、未来の人工知能による倫理と価値観の問題、創造性など、幅広い話題を論じる。著者の想像力はさらに広がり、意識とは何か、自分とは何かという話題にいきつく。その思考の広大さにわくわくする一冊である。
松尾豊(東京大学大学院教授)
2026.6.2
ポーはゆめをみる
著者:エスペン・デッコ(文) マーリ・カンスタ・ヨンセン(絵) 村井理子(訳) 出版社:ほるぷ出版
ポーは ゆめをみます。
うさぎを おいかける ゆめ。
まえは ほんとうに おいかけていました。
でもいまは、ゆめを みているだけ−−
大切な「家族」とお別れしたことのある、すべての人へ贈る―
老犬の死を、あたたかなタッチでえがいた絵本。
いつもとなりにいた「家族」が老いて、やがて死を迎えることは、深い喪失感(グリーフ)をもたらします。
それでも、ともに暮らした「いままで」の日常は、けっして失われることはありません。
大切なペットとのお別れを迎えた子どもたちに、愛する家族を見送ったすべての人に、そっと手渡したい1冊です。
ゴールデンレトリーバーの愛すべき姿と、こっくり深い独特の色使いは、ノルウェーの注目イラストレーター・アーティスト、マーリ・カンスタ・ヨンセンによるもの。『犬がいるから』、『兄の終い』ほか多数の作品と、愛犬家として知られる翻訳家・エッセイスト、村井理子が初めて手がけた翻訳絵本。
2026.5.28
眠れる海
著者:野口あや子 出版社:書肆侃侃房
なんてきれい 蓮 半身を横たえるときは髪からたわみはじめて
眠りの海から溢れ出し、たゆたい
白い衣を纏って紡ぎだされる
しずかな祈りが
火の歌、水の歌、地の歌が
ひたひたと寄せてくる
写真・三品鐘、衣装・ Lhiannan:Shee、短歌・野口あや子のコラボレーション歌集。
2026.5.24
北欧 木の家具と建築の知恵
著者:長谷川清之 出版社:誠文堂新光社
北欧の木造家具や建築を長年研究してきた著者が今だからこそ伝えたい、北欧現代デザインを生み出した人々の生活の知恵の数々。
北欧の家具や什器、建築のデザインのルーツを探ることで見えてくるのは、日本人にとっても重要な木の文化やものづくりの原点です。著者は、北欧の木造建築、さらに当時のままの家具や什器などには、木を如何に活かすかを考え、木を丸ごと活かす工夫が見られると言います。
北欧の木の文化、ものづくりの原点を、著者が現地で撮りだめてきた多くの写真とともに解説した書籍です。
2026.5.21
タイムトラベル基礎講座
著者:ブライアン・クレッグ 訳:柴田譲治 出版社:原書房
できるのにできない? でも、もしかしたら……
数式なし
予備知識なし
SFでおなじみの疑問とその実現度を10のステップで解き明かす!
相対性理論や双子のパラドクスなど、科学的な概念を軸に、タイムトラベルの可能性を10のレッスンの形式で紹介。SF世界を科学的視点から解剖し、現実に落とし込んでわかりやすくその問題点などを案内。知的好奇心を刺激するスリリングな入門書。
知識ゼロから始める時間旅行
2026.5.18
水車小屋のネネ
著者:津村 記久子 出版社:毎日新聞出版
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」
身勝手な母親から逃れ、山間の町で暮らし始めた18歳の理佐と8歳の律。姉妹を見守る蕎麦屋の浪子さん、絵描きの杉子さん、そしてしゃべる鳥「ネネ」。ネネのいる水車小屋で働く青年・聡、水車小屋に現れた中学生・研司……助け合い、支え合う人々が織りなす、希望と再生の物語。第59回谷崎潤一郎賞受賞、2024年本屋大賞第2位など、読書界の話題をさらった感動作!
2026.5.16
集団ヒーロー誕生 石ノ森マンガ第1話コレクション
著者:石ノ森章太郎 出版社:河出書房新社
スーパー戦隊シリーズの記念すべき第1弾『秘密戦隊ゴレンジャー』は、石ノ森章太郎を原作に迎えて誕生しました。その“原作マンガ”や、ライフワークとなった『サイボーグ009』、平井和正原作で後にアニメ映画化もされた壮大な物語「幻魔大戦」、藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄たちトキワ荘時代の盟友と創りあげテレビアニメ化された「レインボー戦隊」など、チームで悪と戦うヒーローたちを描いた名作の数々を、初公開イラストも交えておくる河出文庫オリジナル・アンソロジーです。
2026年1月に発売された『変身ヒーロー誕生』(河出文庫)と同様、タイトルロゴが入った雑誌連載時の扉ページを再現し、編集部による詳細な解説を付した本書は、“マンガの王様”とも呼ばれた石ノ森章太郎作品の入門書としても最適です。ページをめくれば引き込まれてやまない、躍動感あふれる物語の数々を存分にお楽しみください。
2026.5.14
ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン
著者: 出版社:パイ インターナショナル
なぜ北欧デザインは人々を惹きつけるのか。その魅力と思想をひもといた1冊
北欧では19世紀末から「美が人生を豊かにする」という思想が浸透し、人々は暮らしの中に美しいデザインを取り入れてきました。本書は、世界的にも名高い織田憲嗣氏のコレクションで構成される、美と暮らしをテーマにした北欧デザイン展の図録となります。椅子を通して受け継がれる思いや美しい日用品がもたらす幸福感など、思想とデザインを交差させながら紹介していきます。近年は幸福度の高さでも注目される北欧の、新たな魅力を発見できる書籍です。
織田コレクションとは
椅子研究家の織田憲嗣氏が長年かけて収集、研究してきた20世紀のすぐれたデザインの家具と日用品のコレクション。近代デザイン史の変遷を俯瞰できる学術的にも極めて貴重な資料として、世界的にも高い評価を得ています。
2026.5.12
幸せな結末 大滝詠一ができるまで
著者:萩原健太 出版社:文藝春秋
30年以上封印されていた音声、初の書籍化
「まあ、これが遺作だな。死後公開だ」
学芸会の劇ではいつも主役で、12球団全部のマークを自分で手描きした野球帽をかぶり、蓄音機でDJをやっていた少年時代。高2の夏の一目惚れから始まった一生の恋。岩手から上京し、細野晴臣の家に集い作曲を学んだ「はっぴいえんど」前夜。バンド解散後に手がけたCMソングがテレビで流れたときの喜び。ナイアガラ・レーベルを創設し、アメリカン・ポップスが大好きだった少年時代に原点回帰した「ロンバケ」の大ヒット。壁一面ビデオ・デッキで埋め尽くされた伝説の部屋。インターネットが一般的になる前からのめりこんでいたパソコン通信。放送直前に完成した完璧なドラマ主題歌――
1991年8月、「死後公開」を約束に、親交のあった著者が聞き手となって福生の仕事場に三日三晩泊まり込みで行われたロングインタビュー。カセット・テープに録音されて30年以上封印されていた「軽妙洒脱な語り」をそのまま活かし、深い愛情を込めて綴った、POPの頂点を極めた大滝詠一の知られざる素顔。
教師をしながら一人親で息子を育て、欲しがる雑誌は全て定期購読し、ラジオを与えて「大滝詠一」の礎を築いた母。新婚時代、ラジオ局が激安で放出した大量の中古レコードを「全部買えば」と鼓舞した妻……ふたりの女性の格好良さにも痺れ、朝ドラのような展開に心が熱くなるノンフィクション!
2026.5.10
北欧のテキスタイルと暮らし
著者: 出版社:パイ インターナショナル
19世紀の手工芸から21世紀のテキスタイルアートまで
時代とともに紡がれてきた、北欧テキスタイルの魅力
北欧では、寒い冬を乗り切るために、暮らしの中で様々な織物が作られてきました。それはやがて手工芸となり、部屋を飾るインテリアとなり、テキスタイルアートへと発展しました。本書では、家族のために作られた刺繍や織物から、伝統的な手仕事をモダンなデザインへ落とし込んだラグや装飾品。さらには、デザイナーたちが才能を発揮した大胆なプリントテキスタイルや、現代のアーティストたちが作り出すテキスタイル作品などを紹介します。北欧のテキスタイルがなぜ人々を魅了するのか、歴史と共にその変遷をひもときます。
2026.5.8
脳のなかの免疫、免疫のなかの心
著者:モンティ・ライマン 訳:塩﨑香織 出版社:みすず書房
今世紀に入ってようやく、“病は気から”の背後にあるしくみが、劇的に明らかになりつつある。私たちの脳は、免疫系と絶えず情報をやりとりし、協働で心身の健康を形作っているのだ。
「免疫」は従来、たんに病原を排除するしくみと捉えられがちだった。また脳は、「血液脳関門」があるせいで、免疫が関わることのできない臓器と見なされてきた。ところが、いまや脳(心)と免疫系の“対話”のルートが発見され、脳が身体の内部を知覚する「内受容感覚」の研究も進んで、医科学の最前線を切りひらいている。
どうして脳は、体に生じた炎症を記憶したり再発させたりできるのか。逆に免疫の働きは、抑うつや精神の病を引き起こせるのか。関節炎の薬はそれを癒せるのか。心や行動は腸内微生物叢にどう影響されるのか──。そんな新しい問いに挑む神経免疫研究の現在地を、その大きな可能性も含めて、ライマン博士が丁寧に案内する。
この分野の進展は、心身二元論に対する切実な挑戦でもある。身近な病気の理解をアップデートするだけでなく、慢性疾患や精神疾患をめぐるこれまでの医療を再考・再設計する契機だと著者は説く。心身一元の、新たな医科学への呼び声となる書だ。
2026.5.6