台湾と沖縄 帝国の狭間からの問い
著者:編・駒込武 執筆・呉叡人,宮島麻奈美,張彩薇,加藤直樹,上里賢一,齊藤ゆずか,元山仁士郎 出版社:みすず書房
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
米中対立の高まりを背景として、近年、「台湾有事」の可能性が現実味をもって議論されている。在日米軍基地の7割を抱える沖縄では、自衛隊の「南西シフト」構想のもと、さらなる軍事化が進む。前線に押し出された沖縄の人びとは、戦時には攻撃対象となるリスクを背負わされている。一方、中国による併合の意図に抗い、自主独立の現状を守りたい台湾にとって、日米の参戦は自らの防衛に有利にはたらく。このような地政学的構造から見たとき、台湾と沖縄は明らかに対峙する関係にある。
だが、歴史的に見れば、両者は、日本と中国という二つの大国の狭間で相似した運命をたどってきた。いまそれぞれが直面する危機も、元をたどれば、帝国による植民地支配や中央集権的包摂/排除に起因する側面が大きい。リアルな戦争に備えて生活空間の軍事化が進展している点においても、こうした境遇の自力での解決が困難な立場にある点においても、共通の課題をもつ。
台湾と沖縄――この〈帝国の狭間〉に置かれた人びとが、立場の違いを乗り越え、ともに平和である道はないのか? 日本の「本土」に暮らすわたしたちは、このようなジレンマを生みだす者としての当事者性を自覚したとき、どのように言葉を紡ぐことができるのか? 本書は、この問いを起点として、歴史認識と倫理的価値にもとづく〈同盟〉を模索する対話の試みである。
2026.1.26
地下鉄駅
著者:何致和 訳:及川茜 出版社:河出書房新社
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
台北の地下鉄駅を舞台に、人生につまずく人々、その生と死を、地下鉄職員の視点で描く長篇小説。
葉育安、45歳、思春期の娘と認知症の老母との3人暮らし。
優柔不断、すべてに受け身で生きる彼が地下鉄の自殺防止プロジェクト長として向き合うことになったのは、地下鉄のホームで今まさに自死へ向かう人たち。
会社のお金を横領したサラリーマン、SNSで失恋を晒された中学生、持病に悩む老人、周囲から羨まれながらも生きる気力を失った女性……自殺防止プロジェクトリーダーを任せられた育安は、なんとか成果を出そうと試行錯誤を重ねるも、自らの足でホームから飛び降りる人たちを止めることはできない。
それでも群集のなかに身を置いて、日々を生きていく寄るべなき人々の体温が、見知らぬ他人をいつしか温めていく——出口のない問題を抱え生きる全ての人へ、ささやかでも、明日へ向かう力の一端になる物語。
2026.1.24
台湾ノスタルジア 百年老街めぐり
著者:産業編集センター(編) 出版社:産業編集センター
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
台湾で最も注目されている街歩きスポットといえば、不思議さと懐かしさが詰まった玉手箱のような古い街並み、台湾老街。
老街の多くは日本統治時代に造られた、あるいは整備されたもので、100年ほど前の大正時代に日本で流行していたバロック建築で街が造られ、それらが当時のまま残っている。
歴史ある建物だけでなく、ご当地グルメ、ユニークな商店など個性豊かな老街は、台湾全土に130ヶ所以上あるといわれている。その中から、台北、台中、台南を拠点に巡れる22ヶ所を厳選して紹介するビジュアルガイドブック。
2026.1.22
路(ルウ)
著者:吉田修一 出版社:文春文庫
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊。
1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。
台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く作品。大ヒット映画「国宝」の原作者として、さらに注目が高まっている吉田修一さんの渾身の力作です。
2026.1.19
サキの忘れ物
著者:津村記久子 出版社:新潮社
自分には何にも夢中になれるものがない――。高校をやめて病院併設の喫茶店でアルバイト中の千春は、常連の女性が置き忘れた本を手にする。「サキ」という外国人の男性が書いた短篇集。これまでに一度も本を読み通したことがない千春だったが、その日からゆっくりと人生が動き始める。深く心に染み入る表題作から、謎めいた旅行案内、読者が主役のゲームブックまで、かがやきに満ちた全九編。
2026.1.17
入門講義 アニミズム
著者:奥野克巳 出版社:平凡社
人間だけが地球の主人ではない──。ベストセラー『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』で知られる大人気の人類学者が、動物や川、モノにも〈いのち〉や意思を見いだす人類に通底する世界観=アニミズムを、豊富な図版とともに、深くわかりやすく語る。アイヌの伝統的な儀礼、マリオ/ポケモン/ジブリ、AI、さらにボルネオの狩猟採集民まで、事例も多数解説。分断と不平等の時代を救う「古くて新しい」思考法を、現在形に再起動。
2026.1.15
あやとりの記
著者:石牟礼道子 出版社:河出書房新社
山と海のはざまに暮らす幼子みっちんは、盲目の祖母「おもかさま」、“挨拶のよい”大男の孤児「ヒロム兄やん」、いつも懐に犬を入れた「犬の仔せっちゃん」ら、人の世の片隅で生きるものたちに導かれ、にぎやかな土地の霊と交わってゆく。しいたげられがちな人こそが「よか魂」をもち、魂のよい人間ならば、神さまと話すことができるのだという世の神秘が、あたたかみある熊本方言とともにつづられてゆく。
『苦海浄土』で知られる石牟礼道子さんが、もともと福音館書店の児童文学雑誌に連載した作品。このたび河出書房新社より文庫として刊行されました。
石牟礼さんがふるさと水俣の美しい自然と心よき人々に囲まれた幼時の記憶から綴った『椿の海の記』と対をなす傑作です。
2026.1.12
「台湾有事」は抑止できるか
著者:松田康博(編)・福田円(編)・河上康博(編) 出版社:勁草書房
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
台湾に対する武力行使を放棄しない中国・習近平政権。台湾海峡で本当に戦争は起こるのか? そもそも台湾はなぜ重要なのか? 中国・台湾の軍事作戦と国際法上の課題とは? そしてウクライナ戦争からどんな教訓を引き出せるのか? 台湾の国防研究者も参加し、各分野の第一人者と自衛隊元幹部のコラボレーションで徹底分析。台湾が侵攻されないための条件を明らかにして、日本が「やるべきこと」を導き出す。
2026.1.10
歩道橋の魔術師
著者:呉明益 訳:天野健太郎 出版社:河出書房新社
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
1980年前後の台北・中華商場を舞台に、少年少女が繰り広げる不思議な物語。踊り出す黒い紙の小人、女子トイレの九十九階のエレベーターボタン、死にゆく小鳥に起きた出来事、若者たちの恋…。ジャンプブーツを履いた魔術師がさまざまな奇蹟を生み出す。
中華商場は、当時台北に実在した商業施設。現実と幻想、過去と未来が溶けあう、どこか懐かしい極上の物語です。現代台湾を代表する作家の連作短篇。
2026.1.8
日本人が知らない台湾有事
著者:小川和久 出版社:文春新書
ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
中国は本当に台湾に攻め込むのか?メディアを賑わせる「台湾侵攻シナリオ」を名物軍事アナリストが一刀両断、数々の疑問に答える!
「今後6年以内に中国が台湾に侵攻する可能性がある」
2021年、米インド太平洋軍司令官(当時)のフィリップ・デービッドソンによる発言を契機に、中国による「台湾侵攻」への警戒感が世界的に高まっている。日本でも2023年7月、民間のシンクタンクが台湾有事を想定した机上演習を実施し、国会議員や元政府高官らが参加。今にも中国が台湾に攻め込むかのごとく、議論が進められているのだ。
こうした風潮に異議を唱えるのが、軍事アナリストの小川和久氏だ。小川氏は「日本国内における台湾有事の議論は多くが的外れなもの」だと指摘し、中国の軍事力を正しく把握したうえで議論を進めるべきだとする。
「台湾有事は2027年までに起きるのですか?」
「中国軍が武力行使するのはどんな場合?」
「中国はなぜ軍拡を進めているの?」
本書では「台湾有事」を巡る数々の疑問に、軍事アナリスト・小川和久氏がQ&A方式で分かりやすく解答。中国の人民解放軍の〝戦争力〟を解剖したうえで、今後の日本の安全保障戦略についても考える。
2026.1.6
日本人のための台湾学入門
著者:康凱爾 出版社:平凡社
ブックフェア「台湾を知ろう」の1冊
台湾在住の日本人である筆者が、歴史上内部に複雑な多様性を抱えざるを得なかった「台湾」という概念がどう作られてきたのかを描いた新書。
台湾は近年、コロナ対策などで「アジアの優等生」として語られがちですが、本当にそれだけが台湾の姿なのでしょうか。「台湾」についての語りと記憶の交差点から見えてくるのは、これまで見過ごされてきた多層的な台湾の現在地。そしてさまざまな記憶を共有する存在として、日本人はいま「家族」=台湾を知る必要がある──。知っているようで知らない「隣人」の姿を現地在住14年の日本人研究者が描き出します。
2026.1.4
ウマと話すための7つのひみつ
著者:河田桟 出版社:偕成社
「動物と話してみたい」そんな子どもたちの願いにこたえる「馬語」の入門書。馬とコミュニケーションをとるための秘密が書かれた絵本です。
日本のはしっこ、与那国島で馬を相棒に暮らす著者が、馬の世界に入りこんで発見した7つの秘密を子どもたちに伝えます。
そこには生き物や自然と向かい合うための豊かなヒントがあります。
馬と話すことができれば、きっとこの世界の美しさが新たに見えてくるでしょう。
2025.12.27