せんそうがおわるまで、あと2分
著者:ジャック・ゴールドスティン 訳:長友恵子 出版社:合同出版
第一次世界大戦の停戦わずか2分前に戦死したカナダ人兵士がいたのを知っていますか。
実際の出来事から着想を得て作られた、シンプルなメッセージが深く心に残る絵本です。
ジュールとジムは、同じ日に同じ村で生まれた幼なじみ。
ジュールより2分早く生まれたジムは、いつもジュールより速く、強く生きてきました。
第一次世界大戦がはじまり、2人は兵隊に行きます。
しかし戦場は壮大で輝かしいものではなく、泥まみれでみじめなものでした。
いよいよ戦争をおわらせることは決まりましたが、11月11日11時、その時までジュールとジムは戦場へ出向くことを命じられます。そして――
2025.8.14
「争い」入門
著者:ニキー・ウォーカー 訳:高月園子 出版社:亜紀書房
対立、紛争、戦争の「しくみ」、そして「平和」について。
小学生から大人まで、誰にでも必要な基礎知識がこの一冊に。
世界ではいつもどこかで、紛争や戦争が起こっている。だから「争い」は人間にとってさけられないことだと思いがちだ。でも、この本を読めば、人間は、平和についても不断の努力をつづけていることがわかるだろう。
どうして人と人、国と国同士で「争い」が生まれるのか?
──まずは〈構造〉をしっかりと見つめて、「争い」を乗り越える目を養おう。
2025.8.11
敗戦日記
著者:渡辺 一夫 編:串田 孫一・二宮 敬 出版社:ちくま学芸文庫
日本が敗戦へと向かうなか、フランス語で綴られていた日記。そこには国家への絶望と希望の間で揺れ動く知識人の生々しい声があった。
「この小さなノートを残さねばならない。あらゆる日本人に読んでもらわねばならない」。敗戦へと向かうなかで綴られた日記。分量は45頁ほど。1945年3月11日から始まり、大部分はフランス語で書かれている。そこには、一人の文学者がいかに苦悩し、いかに正確な判断を下そうとしていたか、生々しい声が記されていた――。本書は、日記全文の翻訳に、串田孫一宛書簡と関連の文章15篇を加えたほか、戦後数カ月分の日記も収録。日記の原文は口絵に収められている。
2025.8.9
一銭五厘たちの横丁
著者:児玉 隆也 写真:桑原 甲子雄 出版社:ちくま文庫
桑原甲子雄が撮影した留守家族たち、出征してその写真を受け取った横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録した、1975年刊行の傑作ルポが、戦後80年を機に復刊。
戦時中に桑原甲子雄により撮られた「氏名不詳」の人びとを探して、著者は、戦後30年を前にした東京・台東区の下町で、ひたすら露地を歩き、家の戸をたたいた。そうして探し当てた彼らが語ったのは、戦場と横丁、それぞれに降りかかった「戦争」だった。写真の留守家族たち、一銭五厘のハガキで出征した横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録したルポルタージュの名著。
2025.8.7
パラレルワールド御土産帳
著者:穂村弘 / パンタグラフ 出版社:パイ インターナショナル
ネジを巻くと勝手に仕事先に走ってゆく忙しいビジネスマン用「自走式アタッシュケース」、いきなり本物のタブレットは怖いと思う中高年用の天然木製「ふんいきタブレット」など、違う進化を遂げた世界なら発売されていただろう便利なのか不便なのかわからない『空想御土産カタログ』です。広告美術を制作するアーティスト集団『パンタグラフ』が制作した不思議な商品を、歌人穂村弘が紹介します。
2025.8.5
サイレントシンガー
著者:小川洋子 出版社:文藝春秋
著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説。
内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。
やがてリリカは歌うことを覚える。彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?
名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。
2025.8.3
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン
著者:トゥーラ・カルヤライネン 訳:セルボ貴子 五十嵐淳 出版社:河出書房新社
8月1日(金)のトークイベントに合わせた北欧特集の1冊。
2025年はムーミン小説の出版80周年にあたります。ムーミンの生みの親で、絵画、風刺画、漫画、絵本、小説など多方面に才能を発揮したアーティスト、トーベ・ヤンソン(1914-2001)は、政治、社会、文化をはじめ、さまざまな分野に関わりながら、20世紀を象徴するかのような、色鮮やかで豊かな人生を送りました。フィンランドで最も有名な芸術家であるトーベの著書は、30以上の言語に翻訳され、今も世界中で新版が刊行され続けています。
トーベの生涯と作品を魅力的に紹介する本書は、ムーミン生誕80年を記念して刊行された新装版です。ムーミン世界の解説も含め、カラー図版多数収録しています。
2025年8月1日(金)19時~
「ラーゴムが描く社会」出版記念トークイベント
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
2025.7.28
ラーゴムが描く社会
著者:鈴木賢志 出版社:新評論
著者トークイベントを開催します!
2025年8月1日(金)19時~
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
スウェーデンには、周りのことも考えて多くを求めすぎない、「ちょうどよい状態」を美徳とする「ラーゴム」という考え方が、個人のライフスタイルだけでなく、国の政治や経済、社会システムにも根付いていると言います。いま世界ではアメリカを中心に、社会の中に分断や対立をあえてつくり出し、それを煽ることで支持を拡げるという手法が蔓延しているけれど、スウェーデンが歩み続ける「ラーゴム」の道は、その有力なアンチテーゼになるのではないでしょうか。
鈴木 賢志:明治大学国際日本学部教授・学部長、一般社団法人スウェーデン社会研究所代表理事・所長。1997年にスウェーデンに渡り、ストックホルム商科大学欧州日本研究所に約10年間勤務。日本と北欧の社会システムの比較研究を専門とする。
2025.7.28
冒険図鑑
著者:さとうち藍(文) 松岡達英(絵) 出版社:福音館書店
山野草や昆虫の食べ方、魚を手でとる方法… 本気すぎるアウトドア本!
歩く、食べる、寝る、作って遊ぶ、動・植物との出会い、危険への対応の6章からなる、自然を知って野外生活を楽しむための案内書。薬草、応急手当、料理の基本、観天望気など、外出時はもちろん、家庭でも役立つページが500項目、3000カットにおよぶ豊富なイラストで展開しています。小学生や、これから野外生活を始めようとする人たち(!?)、すでに経験豊富なベテランまで、あらゆる人にぴったりな野外生活必携の本です。
2025.7.21
日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック
著者:森百合子 出版社:パイ インターナショナル
8月1日(金)のトークイベントに合わせた北欧特集の1冊。
北欧インテリア=ナチュラル、シンプルだけではありません。長年、北欧の家を訪ね見てきた著者が日本の家と北欧インテリアの相性が良い理由をひもときながら、リノベーションを重ねた自邸での実践方法を紹介します。住まいのベースとなる部分の作り方や、色・デザインを積極的に楽しみ、取り入れるアイデア。それは「こうでなければ」というルールではなくて、知っておくとアレンジもできる基礎でありベーシックな考え方です。そこをうまく捉えられれば、日本でも北欧の住まいのような「普通」に素敵なインテリアが叶えられます。
2025年8月1日(金)19時~
「ラーゴムが描く社会」出版記念
著者・鈴木賢志氏によるトークイベント
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
2025.7.17
『ニルスのふしぎな旅』と日本人
著者:村山朝子 出版社:新評論
8月1日(金)のトークイベントに合わせたスウェーデン特集の1冊。
魔法で小さくされた少年がガチョウに乗って国中を旅する冒険譚『ニルスのふしぎな旅』。スウェーデンで1906年から07年にかけて刊行されたこの本、じつは「国土愛」の涵養を目的とする小学生向けの地理読本として書かれたものでした。初の邦訳書は大正時代の『飛行一寸法師』(香川鉄蔵訳、大日本図書刊)。戦前には雑誌に連載され、主人公と動物たちの胸躍る活躍とダイナミックな展開が、それまでの日本にはなかった冒険譚として人気を博しました。
時を超えて繰り返し訳され、時代によって作品像を変えながらも、不死鳥のごとく命脈を保ち、読み継がれてきた日本版『ニルス』。訳者をはじめ、この作品を情熱をもって世に送り出してきた人たちは、いったい『ニルス』の何にそれほど魅せられたのでしょうか。子どもたち、そして日本人は、それをどのように受け止めてきたのでしょうか。本書は地理教育を専門とする筆者が、その謎を解き、意味を探るものです。
2025年8月1日(金)19時~
「ラーゴムが描く社会」出版記念
著者・鈴木賢志氏によるトークイベント
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
2025.7.12
天使も踏むを畏れるところ(上・下)
著者:松家仁之 出版社:新潮社
敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、かつてない密度とスケールの大長篇。
終戦間近、皇居の宮殿が空襲で焼失していたことをご存知でしょうか。また正月の一般参賀でお馴染みの新宮殿の造営は昭和天皇の了解がなかなか得られず、敗戦から十五年後に始まり、設計者は宮内庁と対立して辞任したものの、当初の計画通りに彼の設計で完成していたことを。
「天使も踏むを畏れるところ」はこの史実を描いた長篇小説です。チーフアーキテクトを依嘱された建築家の村井、心ならずも宮内庁へ出向した建設技官の杉浦、造営責任者となる官僚の牧野ら関係者はどんな経験や考えの持ち主だったか。天皇の侍従や美智子妃のよき理解者となる女性園芸家らを通して皇室と皇居内の暮らしも克明に綴られ、世紀の一大プロジェクトの全体像を見事に捉えています。
2025.6.29