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全世界に読者をもつ巨匠アガサ・クリスティー。しかし彼女は職業を聞かれれば無職と答え、書類には主婦と記入した。当時の社会階層やジェンダーのルールにより、平凡なふりをして生きた20世紀の偉大な作家の一生に光を当てる。
本書は作家研究の視点から新たなクリスティー像を作り上げようとする試みである。現存する書簡や、自己を投影したと思われる作品の一節を丹念にすくい上げ、時代や社会背景をからめて、彼女の実像に迫っていく。その過程の記述は、クリスティーのミステリ作品に匹敵するスリリングさである。