ブックフェア「台湾を知ろう!」の1冊
台北の地下鉄駅を舞台に、人生につまずく人々、その生と死を、地下鉄職員の視点で描く長篇小説。
葉育安、45歳、思春期の娘と認知症の老母との3人暮らし。
優柔不断、すべてに受け身で生きる彼が地下鉄の自殺防止プロジェクト長として向き合うことになったのは、地下鉄のホームで今まさに自死へ向かう人たち。
会社のお金を横領したサラリーマン、SNSで失恋を晒された中学生、持病に悩む老人、周囲から羨まれながらも生きる気力を失った女性……自殺防止プロジェクトリーダーを任せられた育安は、なんとか成果を出そうと試行錯誤を重ねるも、自らの足でホームから飛び降りる人たちを止めることはできない。
それでも群集のなかに身を置いて、日々を生きていく寄るべなき人々の体温が、見知らぬ他人をいつしか温めていく——出口のない問題を抱え生きる全ての人へ、ささやかでも、明日へ向かう力の一端になる物語。