帰れない探偵
著者:柴崎友香 出版社:講談社
今から10年くらいあとの話。
「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自宅の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
『続きと始まり』『百年と一日』が話題の柴崎友香による全く新しい「探偵小説」
2025.8.25
この国のかたちを見つめ直す
著者:加藤陽子 出版社:毎日新聞出版
歴史家の仕事とは
戦後80年――今こそ歴史を振り返り、あるべき国家と国民の関係を考える。
日本近現代史の泰斗が、国家と国民、東日本大震災、天皇と天皇制、戦争の記憶、世界と日本、そして日本学術会議会員任命拒否問題を論じる。戦後80年を前に、国家と国民の関係が大きく揺れ動いている。危機の時代とも言うべき今こそ、その関係を国民の側から問い返し、見つめ直すことが必須となる。
話題のベストセラー、新たに9編を増補し、待望の文庫化。
2025.8.21
仮説の昭和史 戦前・日米開戦編/戦中・占領期編
著者:保阪正康 出版社:毎日新聞出版
もし、あの時……ならば、日本は変わった!?
現代に至るその後の日本のかたちを決めた昭和史の決断を仮説で検証。空想・虚構ではなく起こり得た仮説を立てて考えてみることで、昭和史の実像がより鮮明に見えてきます。
戦前・日米開戦編:
もし、五・一五事件の決行者が厳罰に処されていたら軍部の政治介入は防げたか/二・二六事件に際し昭和天皇が直接鎮圧部隊を率いていたら/中国での日本軍の蛮行を国民が知ったなら/ルーズベルトの和平を願う親電が早く昭和天皇に届いていたら……。
戦中・占領期編:
もし、米軍のガダルカナル島上陸を本格的な反攻の始まりと日本が認識していたら/レイテ湾へ栗田艦隊が突入していたら、マッカーサーは戦死していたか/昭和天皇のバチカン和平工作が成功していたら/二・一ゼネストが決行されていたら/日本語のローマ字表記が強制されていたら、日本はどうなった?
2025.8.18
昭和期の陸軍
著者:筒井 清忠 出版社:筑摩選書
現代人に必須の知識である昭和史。だが昭和の戦争・軍隊とりわけ陸軍の歴史については、少なからぬ間違いを含んだ書籍が広く流通しており、正確な叙述による理解が求められている。本書は、長年にわたり昭和陸軍史研究をリードしてきた著者による、信頼できる昭和陸軍史論集。大正時代の陸軍の考察から始まり、昭和陸軍の派閥抗争史、二・二六事件の真相とその研究史など、昭和陸軍の理解に不可欠な論考を収録。昭和戦争史のブックガイドまで完備した、昭和史理解に必携の一冊。
2025.8.16
せんそうがおわるまで、あと2分
著者:ジャック・ゴールドスティン 訳:長友恵子 出版社:合同出版
第一次世界大戦の停戦わずか2分前に戦死したカナダ人兵士がいたのを知っていますか。
実際の出来事から着想を得て作られた、シンプルなメッセージが深く心に残る絵本です。
ジュールとジムは、同じ日に同じ村で生まれた幼なじみ。
ジュールより2分早く生まれたジムは、いつもジュールより速く、強く生きてきました。
第一次世界大戦がはじまり、2人は兵隊に行きます。
しかし戦場は壮大で輝かしいものではなく、泥まみれでみじめなものでした。
いよいよ戦争をおわらせることは決まりましたが、11月11日11時、その時までジュールとジムは戦場へ出向くことを命じられます。そして――
2025.8.14
「争い」入門
著者:ニキー・ウォーカー 訳:高月園子 出版社:亜紀書房
対立、紛争、戦争の「しくみ」、そして「平和」について。
小学生から大人まで、誰にでも必要な基礎知識がこの一冊に。
世界ではいつもどこかで、紛争や戦争が起こっている。だから「争い」は人間にとってさけられないことだと思いがちだ。でも、この本を読めば、人間は、平和についても不断の努力をつづけていることがわかるだろう。
どうして人と人、国と国同士で「争い」が生まれるのか?
──まずは〈構造〉をしっかりと見つめて、「争い」を乗り越える目を養おう。
2025.8.11
敗戦日記
著者:渡辺 一夫 編:串田 孫一・二宮 敬 出版社:ちくま学芸文庫
日本が敗戦へと向かうなか、フランス語で綴られていた日記。そこには国家への絶望と希望の間で揺れ動く知識人の生々しい声があった。
「この小さなノートを残さねばならない。あらゆる日本人に読んでもらわねばならない」。敗戦へと向かうなかで綴られた日記。分量は45頁ほど。1945年3月11日から始まり、大部分はフランス語で書かれている。そこには、一人の文学者がいかに苦悩し、いかに正確な判断を下そうとしていたか、生々しい声が記されていた――。本書は、日記全文の翻訳に、串田孫一宛書簡と関連の文章15篇を加えたほか、戦後数カ月分の日記も収録。日記の原文は口絵に収められている。
2025.8.9
一銭五厘たちの横丁
著者:児玉 隆也 写真:桑原 甲子雄 出版社:ちくま文庫
桑原甲子雄が撮影した留守家族たち、出征してその写真を受け取った横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録した、1975年刊行の傑作ルポが、戦後80年を機に復刊。
戦時中に桑原甲子雄により撮られた「氏名不詳」の人びとを探して、著者は、戦後30年を前にした東京・台東区の下町で、ひたすら露地を歩き、家の戸をたたいた。そうして探し当てた彼らが語ったのは、戦場と横丁、それぞれに降りかかった「戦争」だった。写真の留守家族たち、一銭五厘のハガキで出征した横丁の兵士たちの戦中・戦後を記録したルポルタージュの名著。
2025.8.7
パラレルワールド御土産帳
著者:穂村弘 / パンタグラフ 出版社:パイ インターナショナル
ネジを巻くと勝手に仕事先に走ってゆく忙しいビジネスマン用「自走式アタッシュケース」、いきなり本物のタブレットは怖いと思う中高年用の天然木製「ふんいきタブレット」など、違う進化を遂げた世界なら発売されていただろう便利なのか不便なのかわからない『空想御土産カタログ』です。広告美術を制作するアーティスト集団『パンタグラフ』が制作した不思議な商品を、歌人穂村弘が紹介します。
2025.8.5
サイレントシンガー
著者:小川洋子 出版社:文藝春秋
著者6年ぶり、世界が待ち望んだ長篇小説。
内気な人々が集まって暮らすその土地は、“アカシアの野辺”と名付けられていた。野辺の人々は沈黙を愛し、十本の指を駆使した指言葉でつつましく会話した。リリカもまた、言葉を話す前に指言葉を覚えた。たった一つの舌よりも、二つの目と十本の指の方がずっと多くのことを語れるのだ。
やがてリリカは歌うことを覚える。彼女の歌は、どこまでも素直で、これみよがしでなく、いつ始まったかもわからないくらいにもかかわらず、なぜか、鼓膜に深く染み込む生気をたたえていた。この不思議な歌声が、リリカの人生を動かし始める。歌声の力が、さまざまな人と引き合わせ、野辺の外へ連れ出し、そして恋にも巡り合わせる。果たして、リリカの歌はどこへと向かっていくのか?
名手の卓越した筆は、沈黙と歌声を互いに抱き留め合わせる。叙情あふるる静かな傑作。
2025.8.3
ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン
著者:トゥーラ・カルヤライネン 訳:セルボ貴子 五十嵐淳 出版社:河出書房新社
8月1日(金)のトークイベントに合わせた北欧特集の1冊。
2025年はムーミン小説の出版80周年にあたります。ムーミンの生みの親で、絵画、風刺画、漫画、絵本、小説など多方面に才能を発揮したアーティスト、トーベ・ヤンソン(1914-2001)は、政治、社会、文化をはじめ、さまざまな分野に関わりながら、20世紀を象徴するかのような、色鮮やかで豊かな人生を送りました。フィンランドで最も有名な芸術家であるトーベの著書は、30以上の言語に翻訳され、今も世界中で新版が刊行され続けています。
トーベの生涯と作品を魅力的に紹介する本書は、ムーミン生誕80年を記念して刊行された新装版です。ムーミン世界の解説も含め、カラー図版多数収録しています。
2025年8月1日(金)19時~
「ラーゴムが描く社会」出版記念トークイベント
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
2025.7.28
ラーゴムが描く社会
著者:鈴木賢志 出版社:新評論
著者トークイベントを開催します!
2025年8月1日(金)19時~
参加希望の方はinfo@books-tangerina.comまでご連絡を!
スウェーデンには、周りのことも考えて多くを求めすぎない、「ちょうどよい状態」を美徳とする「ラーゴム」という考え方が、個人のライフスタイルだけでなく、国の政治や経済、社会システムにも根付いていると言います。いま世界ではアメリカを中心に、社会の中に分断や対立をあえてつくり出し、それを煽ることで支持を拡げるという手法が蔓延しているけれど、スウェーデンが歩み続ける「ラーゴム」の道は、その有力なアンチテーゼになるのではないでしょうか。
鈴木 賢志:明治大学国際日本学部教授・学部長、一般社団法人スウェーデン社会研究所代表理事・所長。1997年にスウェーデンに渡り、ストックホルム商科大学欧州日本研究所に約10年間勤務。日本と北欧の社会システムの比較研究を専門とする。
2025.7.28