ブックフェア「移民について考える」の1冊です。
人種差別、性差別、障害者差別、性的指向差別……。
私たちの周りでよく見聞きされる「差別」という言葉。しかし、差別ほどその存在を捉えにくいものはありません。
「自分は外国人に対して否定的な感情を抱いていないから、差別をしていない」という説明をよく聞きますし、実際、そう考える日本人は多いはずです。しかしこの考え方は、半分は正解ですが、半分は間違っています。外国人に対して否定的な感情をもっていなくても、知らず知らずのうちに差別をしているかもしれないのです。
差別は見ることはできないし、差別の経験談でさえ差別を十分に反映しているとは言い難いのが現状です。だから差別は一筋縄では捉えることができないのです。
では、何が原因で差別は引き起こされるのでしょうか。
本書は差別の実証研究を扱った入門書です。統計手法を使って差別を「可視化」し、その実態を明らかにしようとする欧米や日本の研究を、横断的に検証し、差別の正体と、その原因、そして差別が当事者に何をもたらすのかを明らかにしています。